「春日恭介君…か。キミはケリー遠山の賞を貰った春日恭介君だな」
「はい。その春日恭介です」
「うむ。その後、カメラの腕は磨いているかね?」
「いえ…………そ、それが…」
「いかん!。いかんぞぉ〜、春日君!。それでは、いかん!」
「と、言われましても…」
「我が研究室を希望したキミに最初の課題を与えよう。単位はもちろん出す。が、これをクリアできなかったら、よその研究室に希望転換したまえ。いいね?」
「そ、それは…ガイダンス冊子に書かれていませんが…」
「あんなものは形式に過ぎん!。ケイオスの領域へと踏み込まねば真実は見えん。学生課が何と言っているか知らんが、クリアして貰うぞ!。覚悟はよいか?」
「はい。…覚悟は…できています」
「よし!。…ところで、キミが持ってきたもう一枚の申請書。鮎川まどか君はどんな学生だね?」
「まど…鮎川まどかさんは、大変、…優秀な学生で…」
「それだけかね?」
「いえ!。彼女は!。そ、そのぉ〜」
「鮎川君とは何処で出逢ったのかね?」
「それは、言えません!」
「大切なものは一言ではとても言い表せない。ましてや、他人に訊かれたからと言って、そう易々と喋れるものでもない。春日君。キミはその事を理解しているようだ。合格!。鮎川君も合格!。2人分の単位カードを学生課から貰ってきたまえ。判子を押す」
「え?…それだけですか?!」
「そうだ。何か不満があるかね?」
「ありません。ありがとーございます」
「今年の希望者はキミ等だけだ。特に鮎川君は当研究室を希望する女子学生としては、初めてのケースだ。前期はこれにて終了!。後期は研究対象の選定に入るから、それまでに、キミはカメラの腕を磨いておきなさい」
「カメラ…ですか?」
「フィールドワークの証拠写真だよ!。期待してるぞぉ、春日君!」
>>バッティングしていた課目の内の一方、研究室から与えられる専門の単位が、たった10数分で取得できてしまいました。これで、あかねにも迷惑かけずに済み、まどかにも喜んでもらえるのは間違いなく、さらに希望者は僕らだけなので2人っきりで研究も出来てしまう。って事は、まさに!、オールグリーンなのであり。僕は、超常研を希望して良かったなぁ。
「キミ等が“つがい”なのは既に知っておる。当研究室の窓からキミ等のラブラブな行動生態は丸見えだ!。いい、眺めだよ。はっはっはっはっ」
>>と、思ったけど、担当教授は偏屈という噂、プラス、覗きの趣味もありそうで。ああ、どうなっちゃうんだか。でも、…
>>僕は大学4年になったとき、つまり、約1年後、ボスニアで行方不明になる運命なのであり。もしかしたら、今回の事は、僕が本格的に写真の世界へのめり込む切欠になるのでは、と思えたワケで。
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