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Parallel Novel
「ハリケーン再上陸。春は微笑みと共に」
Chapter<11:現在と未来。KYOUSUKE>

 
 「春日恭介君…か。キミはケリー遠山の賞を貰った春日恭介君だな」

 「はい。その春日恭介です」

 「うむ。その後、カメラの腕は磨いているかね?」

 「いえ…………そ、それが…」

 「いかん!。いかんぞぉ〜、春日君!。それでは、いかん!」

 「と、言われましても…」

 「我が研究室を希望したキミに最初の課題を与えよう。単位はもちろん出す。が、これをクリアできなかったら、よその研究室に希望転換したまえ。いいね?」

 「そ、それは…ガイダンス冊子に書かれていませんが…」

 「あんなものは形式に過ぎん!。ケイオスの領域へと踏み込まねば真実は見えん。学生課が何と言っているか知らんが、クリアして貰うぞ!。覚悟はよいか?」

 「はい。…覚悟は…できています」

 「よし!。…ところで、キミが持ってきたもう一枚の申請書。鮎川まどか君はどんな学生だね?」

 「まど…鮎川まどかさんは、大変、…優秀な学生で…」

 「それだけかね?」

 「いえ!。彼女は!。そ、そのぉ〜」

 「鮎川君とは何処で出逢ったのかね?」

 「それは、言えません!」

 「大切なものは一言ではとても言い表せない。ましてや、他人に訊かれたからと言って、そう易々と喋れるものでもない。春日君。キミはその事を理解しているようだ。合格!。鮎川君も合格!。2人分の単位カードを学生課から貰ってきたまえ。判子を押す」

 「え?…それだけですか?!」

 「そうだ。何か不満があるかね?」

 「ありません。ありがとーございます」

 「今年の希望者はキミ等だけだ。特に鮎川君は当研究室を希望する女子学生としては、初めてのケースだ。前期はこれにて終了!。後期は研究対象の選定に入るから、それまでに、キミはカメラの腕を磨いておきなさい」

 「カメラ…ですか?」

 「フィールドワークの証拠写真だよ!。期待してるぞぉ、春日君!」

>>バッティングしていた課目の内の一方、研究室から与えられる専門の単位が、たった10数分で取得できてしまいました。これで、あかねにも迷惑かけずに済み、まどかにも喜んでもらえるのは間違いなく、さらに希望者は僕らだけなので2人っきりで研究も出来てしまう。って事は、まさに!、オールグリーンなのであり。僕は、超常研を希望して良かったなぁ。

 「キミ等が“つがい”なのは既に知っておる。当研究室の窓からキミ等のラブラブな行動生態は丸見えだ!。いい、眺めだよ。はっはっはっはっ」

>>と、思ったけど、担当教授は偏屈という噂、プラス、覗きの趣味もありそうで。ああ、どうなっちゃうんだか。でも、…

>>僕は大学4年になったとき、つまり、約1年後、ボスニアで行方不明になる運命なのであり。もしかしたら、今回の事は、僕が本格的に写真の世界へのめり込む切欠になるのでは、と思えたワケで。


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※フィールドワークの証拠写真:現地、現場、野外調査する事をフィールドワークといいます。恭介は教授から、お化けやら幽霊やらゾンビやらUFOなどを写真に撮るのだよ、と暗に言われた事になります。ご無体な教授です。

※つがい:1対の雌雄個体が婚姻、もしくは生殖行為可能な関係にあること。ひやかし用語として使用。例:「恭介とまどかは“つがい”である」=恭介とまどかはラブラブである。

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