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「きまぐれ伝説。人魚編」

Chapter<5:くちづけはいかが?。きまぐれエスパー味>

 「ちょ、ちょっと。飲み過ぎじゃない…?」

 「へーきへーき。まどかはオレの何倍もアルコール強いしさ。これっくらいは全然許容だよ」

 「って、アルコールを分解するのはアタシの肝臓なんですけど?」

 「気にしない気にしない♪。幾ら飲み食いしてもタダなんだから」

 「そーゆー問題じゃないでしょ?」

 「おねーさーん!。マーメイド・ラム・トニック追加ねぇ〜♪」

 この島で一等お洒落なレストラン。海面に張り出したオープンデッキで星空と潮音を肴に豪勢な海の幸をどうぞ、というお品書き。これがグランプリの賞品だったものだから、2人はここに居る。

 予定には無いけどラッキーには違いない。それならばと、一旦、ホテルの部屋に戻ってシャワーを浴び、ヒーローはサマースーツ、マーメイドはサマードレス、バッチシめかし込んできたのだ。だから、キメっぷりに恥じないマナーが筋書きってもの。

 なのに、…超能力者はここぞとばかり、お里が知れる行動に余念がない。「ごめんごめん。後に引けなくなっちゃってさ」という謝罪を吐いた口でもってパクパクゴクゴクと際限もない。ので、こうなる。

 「あふぅ〜。おなか、いっぱひらぁ〜。(あぅー、お腹いっぱいだー)」

 「そーだね。よしよし」

 パチン。部屋の照明を灯す。勝手に賞を獲られた上、自分で自分をおぶるハメになるとは…。とりあえず、背中の酔っぱらい=超満腹時46s位をベッドに寝かさないと。

 「得しちゃっらね♪。(得しちゃったね)」

 「うんうん。でかしたぞ、春日恭介」

 「怒っれらいろ?。(怒ってないの?)」

 「怒ってるよ」

 「はぅっ」

 放り投げ。酔っぱらいの身体がダブル・ベッドの中央で仰向けに弾む。すぐさま覆い被さり、けさ固めに入る。ここなら他人の目を気にする必要はない。審判も不要。

 「ヒトの身体で、歩けなくなっちゃうまで飲むなよな!」

 「zzzzzzzzzzzzzzz」

 「あ。そーくる?」

ぎゅっ

 「う"…、zzzzzzzzzzzzzzzzzzzz」

 「ほぉー、上等じゃん…」

 

 キス……………ならどうだ。それ。


 「やっぱり…ヘンな感じ…」

 「エ、エッチしちゃったりすると、ももも、もっとヘンかな」

 瞳の奥で悪戯っぽい天使の妖艶が揺れる。攻め手だって反則攻撃を繰り出すほどに酔っているのだ。なのに、次にかけられるワザを催促してどーする。超能力者よ。

 「やってみる?」

 「え?。何?」

 「だから、ナニだよ。まどか。やりたいんだろ?。ホラぁ〜、勿体付けずにさっさと脱げよ」

 「わっ。ちょちょちょっと!」

 「手間取らせるなって」

 「やめてくれぇー!」

>>春日恭介。自分に…、自分に…。ああ…。

 「な〜んちゃってネ♪。あははは」

 「んもぉ〜らめ…」

>>それで、一気に酔いがまわってしまったワケで。おぶってもらう感覚を知りたかったという興味から、つまり、僕の背中におぶられる時の鮎川まどかの気持ちになってみたかったのであり…演技のつもりだったんだけど、僕は彼女の身体の限度を超えて飲んでいたようで…。

 「恭介?。だいじょうぶ?」

>>…この後、冷たい濡れタオルがおでこに乗ったな…という所まではなんとなく…。それに、何かとても重要な事を、忘れているような気もしたのですが…。

 

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 マーメイド・ラム・トニック: ラム酒のトニックウォーター割マーメイド風。

 

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