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「その少女。かげろうのむこうで side B」

Chapter<4:マヨシャケでロマンス>

 快晴、視界は良好、心地よい微風、気象研の学内気象予報の精度が上がった、春日君に連絡はついたか、ええ、1時間ほどで来るでしょう────談笑しながら、鮎川まどかと杉教授の2人は理学棟の屋上を歩いている。

 「あの木陰はどうかな?」

 「いいですね。あそこにしましょう」

 そう。この大学。屋上といってもコンクリートむき出しではない。土を盛り、芝と草木を植え、狭いなりに人間が憩える空間になっているのだ。超常現象の研究を許可する大学だけのことはある、かどうか。2人は12畳ほどの正円形の丘、芝生の上に腰をおろした。丘の中心に植えられた枝っぷりのいい桜の樹葉が太陽の直射を遮光して、彼らに木陰を提供してくれている。

 「鮎川クン。私はここにこうやって座るとだ、何故か気持ちが安らぐんだよ。それはここの匂いとか、この桜の木が日本人の心に訴えてくるとか、そういう理由では無いように思えるんだ」

 「もしかすると、ここは教授の想い出の場所なのかも。今は忘れているだけで実は、想い出がいっぱい、いっぱい、つまった場所」

 杉教授は髭をたくわえた口元に手を添え、『ぬ音』を伸ばして、ひと唸り(うなり)した。そして、やれやれと首を振る。首の動きに後ろ髪の三つ編みがやや遅れながらシンクロして揺れた。

 「ダメだ。皆目サッパリ想い出せん」

 「マヨシャケを食べると想い出すかも知れません」

 「いただこう!。マヨシャケを食べ、そして願わくば、目眩くロマンスを想い出したいものだな。はっはっは」

 

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 杉教授の風体: トレードマークの後ろ髪は伸ばして三つ編みにしています。口髭と顎髭つき。実験用の白衣を常時着用ってな感じです。描写にない箇所はテキトーに思い描いてください。

 理学棟の屋上: 想像してみようそうしよう。

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