Top/This site/Animation/Manga/ParallelNovel/Links/
Parallel Novel
「その少女。かげろうのむこうで side A」
Chapter<10:少女が守ったものは>

 暗転した館内。少女からは2列前の席で隣り合う2つの肩上が見えた。1つは成長した彼。少女の計算で彼は高校2年生。その彼より歳上に見えるもう1つは─────。

 「鮎川。無理するなって」

 「へーきだってば。これは映画、映画なんだから」

 あゆかわ。初めて聞く名前。その名を彼の口が唱えたとき、身体の芯からある感情がふつと沸いた。

 ダマされているんだ。
 恭介クンには悪いけど、ぜんぜんルックスの釣り合いがとれてない。
 あのオンナに弄ばれているのね。
 そう。きっとそう。彼の優しさにつけこんで。

 《たしかめてみるがよい》

 言われなくてもそうするわ。
 映画の音声が邪魔だけどこの距離なら読める。
 こういうことするのは不作法だって知ってる。
 でも───。
 恭介クンの目を覚まさせないと!

 少女は瞼を伏せゆっくりと息を吐いた。一瞬だけ、スクリーンにノイズが走った。そのノイズに異変を感じた観客はおそらく誰1人としていない。


 「やせ我慢しないでナインハーフを見ようよ」

 「ダメ!。ひかるがせっかく用意してくれたんだから。今年こそ免疫つけ…………きゃぁっ!」

 「あ、鮎川…」

 「え、映画にビックリしただけよ。別に…その…」

 「得しちゃったな。ラッキー♪」

 「……………エッチ!」

 「いたた。でも、なかなかカワイイ叫び声だったよ」

 「もぅ、からかわないでよ。これでも必死なん……っ!!」

 「強情だなぁ。ひかるちゃんにはちゃんと観たって言っとくからさ」

 「ぁ…ぁ…ダメ、寝ちゃダメ……ぁ…きゃぁぁぁっ!」

 

 

 《もうよいであろう?》


 …………。

 

Back / P-NList / Next

 「彼女」の原作の設定と本作の設定との相違 その3

 原作: 恭介達が高校1年の秋頃、「彼女」は高陵学園へ転校してくる。

 本作: リアルタイムで高校時代の恭介達と接触することはありません。

映画の音声が邪魔: 特定の周波数が特定の能力に干渉するのでしょう。

寝ちゃダメ: このセリフでピンとこなかったキミはエルム街の悪夢でレッツ・シャウトです。1がオススメ。

Parallel Novel
Top/This site/Animation/Manga/ParallelNovel/Links/