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Parallel Novel
「その少女。かげろうのむこうで side A」
Chapter<9:はじめての未来>

 「お!。お嬢ちゃん。その格好、気合い入ってるね」

 

 「いいよいいよー。映画の楽しみ方は人それぞれだからね。思いっきりゾクゾクしちゃってちょうだい。さぁ、入った入った。後ろが詰まってるんでね。はいよ。次のお2人さん!」

 え?

 少女は自分の手が握っているものを見た。
 映画のチケットにすり替わっていた。

 夏のホラー映画3本無料サービスって────なに?

 少女は映画館のもぎりを抜けた、分厚い防音扉の前にいる事に気づいた。自分は学生カバンを持ちマフラーを巻き制服の上にコートを羽織っている。衣類は溶け残ったわずかな雪を乗せ湿っていた。

 え"?!

 「おや。たしかナインハーフの券を買っていった…。ほう。今日は彼氏とホラーかい?」

 もう1度もぎりの方向を見た。

 「あ…………………」

 そこには高校生ほどに成長した彼の姿があった。隣には、彼がクラスメートに答えていた理想そのものへ命を与えたような存在がいた。2人は少女の横を歩きホールへと入場していった。その際、彼はまったく少女の存在に気づかなかった。

 少女は混乱の中でもう一度、手元の券を確かめた。上映日の印刷がしてある箇所へ目線を流した。左手の指を親指、人差し指、中指と順々に倒し、この現状をやっと把握できたのだ。

 3年と7ヶ月も経ってる!
 ここは未来……………。

 

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もぎり: 映画館やライブハウスなどに入場する際、入場券をちぎるアレです。

ナインハーフ: この映画を観るときの恭介とまどかの反応を見てみたい、という理由で採用。

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