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「その少女。かげろうのむこうで side A」

Chapter<1:お礼はいわない>

 その少年の事情は知っていた。

 『怪我なかった?』


 だが、これは計算外のハプニングだった。

 
 『あ。お、オレ春日恭介って、いいます。今日、この中学に、転校してきました!』


 1時限目が始まってすぐ、気分が悪くなり3階の教室から1階の保健室へ、ひとり階段を降りてゆく途中だった。今日のことが気になり、昨晩ほとんど寝られなかったのが原因に違いない。たぶん貧血。階段を踏みはずすなんてドジもいいところ。


 『それでい、いきなり遅刻してしまって、そ、そしたら、キミが、上から降ってきて、』


 息が切れてる。汗いっぱいかいて。よほど急いできたのね。
 使えばいいのに─────。


 『……………あ、あの…じゃ、オレ行くね』


 さよなら。お礼なんか言わない。気分悪いの。
 ぜんぶ、あなたのせいよ。

 あれ?。なにか落として────学生証じゃない。
 古い手使っちゃって。

 はん!

 

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さて、本作の主人公である「彼女」の設定は原作と異なります。というかいっそ別人格と捉えてもらった方が混乱はないと思います。原作の設定を念頭に読まれますと混乱必至かもです。作者の屈折した愛情がほとばしり、かくあいなりました。ゆるしたまえ。

 「彼女」の原作の設定と本作の設定との相違 その1

 原作(JC10巻:危険な転校生!):高校1年の秋、再会時にはじめだれだかわかんなかった、髪も今よりは長かったような、と恭介が証言。恭介と出逢った頃の彼女と比較して、その変貌ぶりが示唆されています。

 本作:中学一年の夏、ある理由で「彼女」は髪を切り、黒縁のダテ眼鏡を着用します。恭介の記憶において、恭介と「彼女」の関係は、すでに髪が短く黒縁眼鏡へと変貌した「彼女」と出逢うことから始まります。

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