鮎川邸の和室(あったのか!)に電気コタツが登場。その上には鮎川まどかがアバカブから借りてきた卓上コンロ。コンロの上にはお待ちかねの鍋。鮎川まどかの手が鍋の蓋をとる───立ち上る湯気の向こうでは主賓、春日恭介君が鍋の中が水だった時から謝り続けている。
「…でもさ、結局。くるみのヤツ出さなかったんだよ。だから、怒らないでやって欲しいんだ。ね?」
「出さなかったって知った時、嬉しかった?。はい、ワタリガニいっぱい入れといたよ」
「う、うん。あ、美味そぉ〜♪(はぐっ)」
「アタシも嬉しかったなぁ。くるみちゃんが“まだ未完成なんだけど”ってシナリオの原稿を見せてくれたとき。」
「え"っ?」
同時に恭介の口にくわえられたカニの甲殻がパキャッと割れた。
「マドーカとヒカールはゲームの進め方次第でどちらか一方だけが主人公と結ばれるんだよね。くるみちゃんったら、ずーっと謝ってるの。ヒカールもマドーカも同じくらい思い入れがあって、大切な存在でって。だから、3人が結ばれるエンディングも用意したんだって、ネ(にっこり)」
「じゃ、じゃぁ…」
「出さなかったんだ…そっか…」
「そっか、じゃないよ。知ってたんなら、教えてくれたって!」
「教えちゃったら、マドーカとヒカールがいなくなっちゃうかも知れないじゃん?。アタシ、気に入ってたし♪」
「あのねぇ…」
「ま、恭介が他のネーミング思いつくようだったら、とっちめてやろーって思ってたけど?」
「………………(汗)」
スケイヴァン・ハング・レイ…なんて言えるわけない。その汗が鍋でかいた汗じゃない事はバレバレですよ。恭介君。
「はぁ〜ん。思いついた事を言ってごらん?。ほらっ(こちょこちょ)」
「わはっ。足の裏!。弱いんだってば!。ごめ、言います!。言うから!。やめてーー!」
>>くるみの原稿の中に3人が結ばれるエンディングを見つけたとき、例えば僕がゲームの中に生きる主人公だったとしたら、3人が結ばれるフィナーレを選んでしまうのではないか、と思えたのであり。僕の現実とはあまりにかけ離れているけれど、それが許される世界でなら、3人が結ばれるというのもアリだったと思えるワケで。
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