主人公は全てのパズルを揃えた。今ここに生還。
主人公:『…………………………』
剣士マドーカ:『ん………。え?。寝ぼけてるの?』
主人公:『マドーカ!(抱き)』
剣士マドーカ:『な!。何すんのよっ。いきなり!(バシッ)』
主人公:『痛い…も、戻った…生きてる…生きてるんだね(ぺたぺた)』
剣士マドーカ:『生きてるわよ!。変態!(バシッバシッバシィッ!)』
主人公:『良かったー(すりすりすり)』
剣士マドーカ:『や、やめ…えぃ!』
主人公:『わぁ!』
どささっ。
剣士マドーカ:『…………壊れちゃった…アンタのせいよ!』
主人公:『…冷たっ…ん?』
召喚士ヒカール:『おふたりともー。目が覚めましたー?。テントの外は雪ですよ!。雪!。こらぁ〜ユングザーク!。よそ見しないでしっかり転がしなさい。え?。寒いの苦手?。甘えるんじゃない!。そんなんでアンデッドがつとまると思うの?!。コマーツとの決戦に備えて体を鍛えるのよ!。ほら!。ちゃっちゃと転がす!』
主人公:『な、何やってるんだい?』
召喚士ヒカール:『雪だるまですよ!。おっきなヤツを作るんです♪』
主人公:『ふーん………………痛っ!』
剣士マドーカ:『目が覚めた?。それとも、もう一発?』
主人公:『や、やったな…』
聖オレンヂ歴336年1月某日。
闇の司祭コマーツは何者かによって倒され、コマーツに創られた“似て非なる人間達”も人間の姿のまま何処かへ去っていった。時をおかず、囚われの身であった女帝アクアネの帝政は回復し、近衛師団メビューズの生き残りと共に、“ミッションを完遂していない”3人も帝都入りを果たすことになる。
召喚士ヒカール:『あー。雪合戦ですか?。あたしもやりますー!』
主人公:『それっ!』
剣士マドーカ:『はっ!(避け)』
召喚士ヒカール:『きゃっ、冷たぁ〜い。うりゃっ!』
主人公:『わたっ』
帝都入りした3人を賞賛の嵐が待っていた。コマーツが倒された直後から、帝都の民の間で囁かれ始めた“ある伝説”───コマーツを倒したのは黒い魔導士・赤い剣士・白い召喚士の3人組───その3人組こそ───トライアン・ビーツ!トライアン・ビーツ!トライアン・ビーツ!。自分達へ向けられたものだとは思えぬ、人違いだ、といった3人の素振りは、民にますますの熱狂を持って迎えられ、ここに“メビューズの聖役”は幕を閉じる。
───さて。気になるその後の3人についてだが、聖オレンヂ史記にはこう記されている。
剣士マドーカ:『…………………いいわね?』
召喚士ヒカール:『はいっ。ユングザークも準備オッケーですっ♪』
主人公:『ん?。何?。2人とも…どうかした?』
───黒髪の女剣士アユング・デュダ・マドーカ。
剣士マドーカ:『それっ!。えいっ!。やっ!』
闇の司祭コマーツの陰謀により一族郎党を処刑され潰えた名門アユング家の隠し子女であることが判明。その類い希な剣技と面倒見の良さを買われ、メビューズ聖剣部隊隊長への就任要請が下る。───が、本人は周囲の期待をよそにこれを拒否。時を経ずして帝都逐電ののち、彼女の行方を知るものはいない。
───栗毛の召喚士ピカラ・デュダ・ヒカール。
召喚士ヒカール:『てぃっ!。やっ!。えいえいえいえいっ!』
彼女もまたコマーツの陰謀により潰えた名門ピカラ家の隠し子女であることが判明。彼女の持つ生来の明るさは圧制で疲弊した帝都に舞い降りた天使の微笑みと賞される。───が、マドーカと時を同じくして帝都を逐電。その後の足取りはようと知れない。彼女の残していった召喚獣を問い詰めてもニャァ?としか答えないのだ。
そして───。
主人公:『わわ、わぁ!。痛っ、ちょ、あっ、つっ、ずるいよ!。2人で共同戦線を張るなんて!。あ!。やめ…やめて…痛っ!』
彼についての記述は史記に全く残っていない。大陸に散らばったコマーツの悪しき遺産、“似て非なる人間達”を元の生き物の姿へ戻す旅へ出たのだ、あるいは、聖役中での度重なる禁呪使用によって生命力が残り少なく人知れず行き倒れた、など諸説はあるが定かではない。よってここでは、それら諸説の元となった───今も辺境の地クワスガットで語り継がれている2人の美しき妻と暮らした賢者の物語───その一説をご紹介しよう。
黒髪の妻と栗毛の妻。
薄命だった賢者の死後、2人は幾久しく共に暮らす。
アユンガット、ピカラガット両家の紋章に刻まれた『オレンジにネコの爪痕』は、その優しくも切ない運命を2人が尊い絆として認めあった証なのだ。
fin
|