「おにーちゃん!。ついたー!?」
「と、と、と。今、やるからぁー!」
「今、今って…蛍光灯交換するのに何十分かかってるの?。これじゃいつまでたっても大掃除が終わらな……」
ガチャ、ガチャガチャ。
「ままま、まなみ、ちょっと待て!」
「鍵かけて?…………さては!!(ぎゅぃ〜ん:テレポート)」
「わぁー!」
「やっぱり、盗み読みしてたのねっ!。バレバレなんだからっ!」
「すみませんっ!。このとーりです!」
「謝るなら、くるみちゃんに謝るっ!」
「はいぃっ!」
「っもぅ。思いっきり原稿バラまいちゃって!」
「つい…びっくりして…なはは」
「没頭しちゃうほど、面白かったの?」
「え?。まなみは読んでないのか?」
「くるみちゃん、採用後のお楽しみ♪って読ませてくれないから」
「じゃぁ、読んだことがバレたら…あわわわ」
「あ〜ぁ、こっちの原稿はページ番号が落ちてるのよ。どうやって揃える気なの?」
「それは…す、ストーリーの筋で揃えるしかないだろ?」
「そーゆーと思った…」
まなみは恭介に、独りでやって、と言いたいところだった。が、急いで原稿を揃えて手伝ってもらわないと大掃除も終わらない。大掃除の方をパワーで乗り切っても良いけれど、それでは例年、自力でやってきた事が何やら無意味に思えてしまう。かといって、原稿に手を伸ばそうとすると、“読まないで”懇願するくるみの顔がよぎる。それにそもそも、こんなしょーもない兄を救うべきなのか。どーする、まなみちゃん!?。
「ねえ、これさ…アブナイんじゃない?」
「カズヤ!。いつの間に?」
「へへっ」
「へへっ、じゃないの!。勝手に読んじゃダメなのよ!」
「まなみお姉ちゃんだって、“読みたい”って思ってたじゃん?」
「…く。人の深層心理まで読むなんて!」
「そうだぞ、カズヤ!。そろそろ能力を使わない事を覚えろ!」
「パワー使わなくっても読めるってば。ね。それより、ここ読んでみなよ。2人とも驚くから。はい。」
カズヤが2人の眼前に差し出した1ページ。反射的にそのページを読み始めてしまう2人。
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