Top/This site/Animation/Manga/ParallelNovel/Links/
Parallel Novel
「クリスタル・レイン」
Chapter<8:そのスコア書きなおせますか?>

 『ぬぁにぃ〜っ!。運命を変えるパワーじゃとぉ〜っ!。んなもん問答無用で却下じゃっ!』

 『まなみの一大事なんですよ。おじいちゃん。このとーり。一生のお願い。オレ、なんでもするから。お願い…っ!』

 『ダメじゃダメじゃ!。帰れ!』

 『帰りませんっ!』

 『ちっ…頑固になりおって。いつまでもそーしていろ。ダメなモノはダメなんじゃ!』

 春日恭介は土間に正座していた。もう脚がしびれて感覚はなかった。ちょいとズルをしてパワーで身体を浮かしちゃおうかなーと弱気が彼の頭をかすめたとき、天の声が聞こえた。

 『恭介や。ホレ、このクリスタルを持っていくとええ』

 『おばあちゃん!』

 『しっ。声が大きい…。ええか、このクリスタルには厄災の運命を封じ込めるチカラが宿っておる』

 『あ、ありがとう。これがあれば』

 『ただし!』

 『ただし?』

 『厄災から逃れた者はの、引き替えに、最も大切なヒトとの想い出を失う。きれいサッパリとな』

 『最も大切なヒトとの想い出を…』

 『運命を変えるには、それ相応の代償を払わねばならないのじゃよ。よくよく考えて使いなさい』

 春日恭介は一握りほどの透明なクリスタルを見つめた。今、そのクリスタルは春日まなみの掌の上にある。

 「というわけで、それを使えばレイジ君の病気は治せる。でも、引き替えに、彼の最も大切なヒトとの想い出を消してしまうことになるんだ」

 「わかった…」

 「まなみ…」

 「うん。だいじょうぶ。ありがとう。お兄ちゃん」

 「あ、そうそう。チケット売りとポスター張りは順調だってさ。こういう時のアイツらの行動力には恐れ入るよ」

 「小松さんと八田さんね?」

 「たんまり女の子を集めて萌えあがるそうです。動機は不純だけど頼りになるよ。あはは」

 「まなみちゃんまなみちゃん、これ見てこれ見て〜。こんな髪型どうかなぁ、あでも、こっちもカッコいーかなー。レイジ君ってどんな髪型でも似合いそうだよねー。バッチシ決めたら早川みつるより断然イケルと思うのー♪」

 「くるみ。プロのメイクさんが付くんだから、そーゆーのはプロに任せておけよ」

 「え〜でも〜。アタシはまなみちゃんの意見を採用した方がいいと思うんだもん…。」

 「くるみちゃんその本貸してくれる?」

 「うん♪。アタシも手伝うね。お兄ちゃん、アタシ達忙しくなるから家の事はよ・ろ・し・く!」

 「な…。ま、まかせなさい」

 

Back / P-NList / Next

 クリスタル: 手のひらサイズのようです。使用すると厄災の運命から逃れられるものの、最も大切なヒトとの想い出をきれいサッパリ忘れてしまう副作用つき。

Parallel Novel
Top/This site/Animation/Manga/ParallelNovel/Links/