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Parallel Novel
「カカオ・セレナーデ」
Chapter<1:ダイブ!おっチョコ世界へ、いざ!>

「では、ご説明します」

 春日家の能力者が催眠術を使用する際、通常、いかなる形であれ、必ず術が解ける設定をする。一定の時間が経つ、2つ以上の命令をされる、何かに噛まれる、など、捻りは入っているが愛嬌程度なのだ。が、今回、くるみが恭介にかけた催眠術には厄介なタイムリミットがあった。

 売り言葉に買い言葉のイキオイ。
 『チョコ大魔王』は、くるみが咄嗟に思い付いた架空の存在。
 術を解くには、くるみ以外の誰かが、くるみの意識空間に入って、チョコ大魔王からカカオの粉を貰って現実世界に戻ってくる。んでもって、その粉を練り込んだチョコを術にかかった者に食べさせればOK。

 んでも、チョコ大魔王が時間と共にくるみの意識空間で忘却されると、消滅してしまう。チョコ大魔王が消滅してしまったらカカオの粉も手に入らない。カカオの粉が手に入らなければ恭介の術は解けない。術が解けなければ、恭介はこのまま。このままって事は、笑えるけどコメディーにならないじゃん。しかも、くるみときたら揮発性のメモリーチップ数バイト以上に忘れっぽい。わぉ〜どうしよう…でも、オッチョコチョイでは恭介と並ぶ双璧、くるみならではの高等テクニック…などと、悠長に構えているバヤイじゃないのだ!。

あー

 「とにかく…、一刻を争うって事はわかったわ」

 「まどかさん。くるみの意識空間へダイブしてくれませんか?」

 「もちろんよ。任せて」

 まなみと段取りを確認した。
 まず、まなみがくるみを催眠術にかけ、くるみが大魔王の事を忘却する事を防ぎつつ、まどかをくるみの意識空間へと送り込む。まどかが作戦完了もしくは危機に晒されたら、まなみがまたまたパワーでまどかをサルベージするという、名付けて『電撃!カカオ・ダ〜イブ』。しっかし、これって成功するの?!。

 「てへへ♪。もっと、描いちゃえー。スケベ…にそれからぁ、おっちょこちょい…っと、んでもってぇ…ほよ?」

 まなみの人差し指がくるみの額に当てられていた。
 パワー解放!。ヘニャヘニャと倒れ込んだくるみをまどかが抱き留めた。

 「ごめんね…。くるみちゃん」

 「いーんです。くるみに説明していると時間がいくらあっても足りませんから。あっ、まどかさん。コレを持っていって下さい。チョコ大魔王を探しやすいかも」

 くるみ自身に咄嗟の思い付きを忘れさせないようにと、まなみがくるみに描かせた『チョコ大魔王の想像画』。この辺はさっすがぁ〜!気の利くまなみちゃんなのだ。

で、大魔王の姿形はと。

 腰ミノ以外は裸。
 腰ミノには巾着がぶら下がっている。
 たぶん、巾着の中にカカオの粉が入っているハズだ。
 頭に大きなお鍋の蓋のようなものを乗せている。王冠?。
 身体や顔の特徴までは思い付かなかったのだろう、描かれていない。性別もこの絵からは判別できなかった。背景も無い。

にしても、ねぇ?

 「ぷふっ」

 「コホン…で、ひとつ注意しなければならないことがあるんです」

 くるみの意識空間が変質しないように、まなみがくるみを催眠術にかけカカオ大魔王の事を考えさせておく。だから、今も大魔王の姿形は恐らくこの下手クソな絵のとおりに違いない。が、確定されていない大魔王の残りの姿形や性別、性格、さらに大魔王の住む環境は、くるみの意識空間に侵入した者の『想像』によって決定される。つまり、まどかの想像が、チョコ大魔王の不確定要素も、絵の背景となる世界観すらも左右するとの事だった。

 「じゃぁ、いきますよ?。んんー」

 まなみがまどかの額とくるみの額に左右の手を当て、念を込める。

 まどかには無数の光の矢が見えた。

 

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