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「鮎川まどか。キミと歩く5月」
Chapter<9:ドント・ストップ・ミーなので。>

 「春日?。おぅ、あの大学生の兄ちゃんか。ここのテントで待ってなよ、べっぴんさん。今、呼んできてやるから」

 恭介はやはりこの現場でバイトしているのだ。まどかが関係する事となると真空管が飛ぶまでオーバードライブしちゃうギターアンプみたいな彼。今だって作業服とヘルメット、汗水垂らしーの、全然オレンジ☆ロードじゃないルックスでロックンロール(作業)しちゃってるのに違いない。つまり、肉体労働なんかしたら最も怪我をしやすい状態であるのは想像に難くないのだ。

…早いとこ辞めさせないと…かつぎ込まれちゃってからじゃ遅…

 「おーい。足をくじいちまいやがった。コイツは若いっていうのか、要領が悪いっていうのか。手を抜くことを知らねぇ。おい、しっかりしろ」

 1人の若者。いんや、バカモノがかつぎ込まれてきた!


 「恭介…」

 「………オレ、まだ働けます!。監督。お願いします!」

 恭介は彼を抱えてきた作業員の腕をふりほどき、現場へ戻ろうと足掻いた。負傷した彼が現場へ戻ったとしても作業の足手まといにしかならない。それが現実。人の良さそうな現場監督は『キミは人一倍良く働いてくれた、でももう無理だよ』と恭介をねぎらい、恭介がリタイアするまでの時間に換算した日当を手渡す。なのに、恭介は頑として譲らない。テントの中には困惑が充満した。おいおい、春日恭介。いい加減に…

 

 バシィッ!!!

 

 鮎川まどかの渾身だった。
 恭介の顔が歪んで戻らないのでは無いかと思えるほどの。彼の真空管をチョーキング一発で飛ばせるのは彼女だけ。

 

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 恭介のバイト2: チューブアンプをフルテンにしてギャイーン。

 まどかの渾身(こんしん): ビンタです。腰の入った強烈なヤツ。

 

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