リーン、リーン、リーン。はいはい、誰よ、アタシはもう寝ようと思っていたのにって時間。電話をかけてきた相手は、「あ、オレだけど」なんて言っとります。どうしてくれましょうか、まどかさん。
「鮎川は当分、電話に出られません。お急ぎの超能力者は…」
「ごめん!。連絡遅れちゃって。オレさ…」
「びちょびちょ化粧品もお断りなんだけどなぁ〜」
「ごめんごめん。春日恭介、このとーりです」
電話の向こうで深々と頭を下げている春日恭介を想像し、まどかは軽く吹いた。いぢめるのはコレくらいにしてっと。キミにはたんまり訊きたい事があるんだゾ。
「アルバイトねぇ…カメラ用品欲しいっていう動機はわかるけど」
「ほ、ホラ、カメラマンの卵としての基本というか、やる気というか。いつまでも親父の機器借りてるってのも良くないしさ。んー、あと、フィルムとか消耗品のストックがね、底を尽きそうなんだ。そ、それに、バイトするのは明日までだから…うん」
「ふぅ〜ん」
まどかに連絡をできなかった理由には全然なっていない。電話なんかスグできるじゃない…あ・や・し・い。怪しいゾ、春日恭介。
「なははは。…あ、あのさ、早川ミツルって最近、どう思う?」
「え?。なに、いきなり…」
「どう思う?」
「んー、アイドル辞めてから割とイイんじゃない?。ま、音楽は好きになれないけどね」
「そ、そーなんだ。あは、ははは」
「CDをリリースする度に送り付けてきて、マメなのよ」
「…………………」
「はは〜ん、わかった。恭介ってば、早川ミツルに嫉妬してる?」
「まどか!!」
「な、なに?。怒ったの?。冗談よ、じょ・お・だ・ん」
「誕生日、予定空けといて。 あさっての25日!」
「はい???」
「ビッグなプレゼントを用意してあるんだ」
「ビッグなプレゼントぉ〜?」
「そう。期待しててくれ」
「恭介。あたし、別に…なんでも…」
「よし!。よし、よし、よしっ!。じゃあ、おやすみ!」
「おやすみ?。ちょ、ちょっと、あたしはまだ訊きたい事が。あ!」
ツー、ツー、ツー、
「なんなのよ…いったい。アルバイトするとかビッグなプレゼントとか………………………………………バカ!」
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