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「鮎川まどか。キミと歩く5月」

Chapter<2:気の利かないイトコなので。>

 春日恭介が早川ミツルのBMWから開放された頃…彼が通う大学の構内には彼の登場を今か、まだか、何かあったのかしら、もうお昼だよ?と待っている彼女の姿がある。

 「まどぉ〜〜〜か、ちゃん♪(抱き)」

 「あ、あかねさん!」

 「あっれー?。今日は専属ジャーマネの恭介が見あたらないわね。いつもなら、『くっつくなぁ、離れろぉー!』ってウッサイのに」


 「遅れても2講目までには顔出すんだけど。今日はまだ来てない…みたいなんだ」

 「で、心配になってきた。それでそんなに物憂げな顔しちゃってる。ん?」

 「え、あ…………あはは」

 「心配ない心配ない。アイツなら、そのうち『ごめ〜ん、まどかの夢見てたら寝坊しちゃってさ。なはは』とか言いながら顔出すわよ。それよっかさ、ウェーブかけたでしょ?。髪の毛!(んー、どれどれ)」

 「うん。軽くだけど」

 「ゴージャスよ!。“まどかちゃんマニア”のアタシには堪えられないわぁ〜。恭介のヤツはなんて言ってたの?。ま、アイツのことだから『ナチュラルが一番なんだー!。うわぁあ』なーんてお堅いこと言っちゃってるんでしょ?」

 「昨日かけたばっかりだから…まだ、逢ってないし」

 「じゃあ、アタシの感想が一等先だったってワケ?。あ〜ん、ごめん。ごめんネ、まどかちゃん。アタシってホント気が利かないヤツ」

 「え?。いいの、いいんだってば。特に意味なんて無いんだ。うん」

 意味がないハズはなかった。その事にあかねが気付いたように、恭介だって気付くハズなのだ。一昨日、恭介の部屋で彼が隠し損ねた男性誌を見つけ、彼の好みは調査済みなんだから。

 『違うってば。もし、髪型変えるってゆーなら、この雑誌に載ってるどのスタイルにしても似合うよ、って言いたかったんだ』

 『ほぉ〜。じゃ、こーゆー髪型にしちゃってもいいんだ?』

 『え…そ、それは短すぎ…んと、(パラパラパラ…)これとかいいんじゃないかな』

 『あ。ページの端っこに折り目なんか入れちゃってさ…ふ〜ん、171センチ、92、55、94かぁ。…オカズにしたでしょ?』

 『なな、なに言ってんだ!。してないよ!』

 でも、彼はここにいない。
 まどかが一番期待しているリアクションを持っているだろう彼は。

 

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 まどかの専属ジャーマネ: まどかの専属マネージャーのように、という意味で恭介を指しています。

 ウッサイ: うるさい=五月蠅い

 まどかのウェーブ・ヘア: TVアニメ第22話「大人の関係!?まどか秘密の朝帰り」のライブ用ヘアスタイル、あるいは、Comic On Vol2のジャケットみたいな感じかな。

 オカズにしたでしょ?: ページに折り目が付いていた理由を、まどかが悪戯っぽく突っ込んだワケです。モデルのスリーサイズは架空。

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