★<まどか vs ひかる、フェロモン濃厚激辛テニス勝負>
檜山ひかるにして、姉も同然のまどかが、恭介と仲良くする事は好ましい状態、『そうあるべきカタチ』のハズだった。が、今は違う。恭介へは意地を張ってしまった。そして、まどかには…嫉妬している。
引き続き第2ラウンド。
レディ?
鮎:「春日君疲れたって寝てるわよ」
まどかは身を切る芸(偽装)でひかるを安心させようとします。このセリフには姉貴分である自分の位置を示し、ひかるの心理状態を探る意図が込められている。これを受けて、檜山ひかるは余計なお世話と取るか、心遣いと取るか、はたまた…。
ひかる:「おつきあいしてくれる人他にもいますから」
当てつけに本命以外の異性と遊ぶのだと意地っ張りな自白。恭介への想いを自分で汚している。『そうあるべきカタチ』を喪失した反動と言える状態。破壊行為。そう、誰かさんが得意な(ね、まどかさん)。ここまで、恭介を責めるだけだったひかるが、まどかにもつらく当たります。こんなひかるに誰がした?。まどかに向かって矢が放たれた。
鮎:「え?…」
まどかの急所、姉貴分としての責任感と罪悪感の間にぐっさり大当たり〜。『汚し』が切ない行為であると、鮎川まどかは身をもって承知しています。今、自らを汚そうとする檜山ひかるの状態は、鮎川まどか自身が経験した状態と重なる。
『そうあるべきカタチ』と『2人の絆』。持ち主は違えど、消失点から放出される衝撃波は持ち主を混乱、自暴自棄へ陥れて余りあるパワーがあります。想い入れの強さは互いに甲乙付け難い。
鮎:「…春日君…知ってるの?余計なことかも知れないけど」
鮎川まどかは、あくまで、檜山ひかると同じ土俵に立とうとしません。同じ土俵に立つことは、彼女の願い(=大博打:第15話『鮎川まどか=恋するカオス』フェイズ5参照)が破綻する事に直結しているから。恭介と空間を共有する現場を、ひかるに押さえられてなお、姉貴分である自分を演じます。しかし、ひかるを引き留めることが出来ない。何故か?。
まどかは恭介と共有する空間において、『2人が互いに意識しあう男と女である可能性』を否定していない。たとえ嘘でも『2人の絆』の存在を否定できない彼女の素直さが影響したミステイク。絶対などあり得ない。何が起きてもおかしくない。『そうあるべきカタチ』を消失したひかるを引き留めるだけの偽装ができない。
檜山ひかるは鮎川まどかに、『ダーリンに密着しないでくださいっ!』と対決意思を表明しません。ひかるがまどかを徹底的に排除できないのは、トライアングルの存在に気付いているからです。しかも、トライアングル内で自分の位置が少なくとも『そうあるべきカタチ』に合致していない、時に現在などは。混乱、自暴自棄モードです。このままでは、ひかるちゃんが壊れちゃう!。
恭:「ひかるちゃん…あぶない…」
ひかるのセリフ通り幸せなヤツです。主語が「あゆかわぁー」だったら、そのまま湖に沈められてしまったでしょう。首に手を回しつつ(怖ぁ)ひかるが意地を張り通せなかったのは、彼女が混乱の中から恭介との絆を見つけた証。恭介の寝言ごときで『2人の密着状態』は消せない事実であるが、彼の寝言、彼が危険を省みずひかるを救出した事もまた、消せない事実。それは、確かにひかると恭介が2人で共有した時間。ひかるが欲しかった答は、彼とのふれあいの中にあったのです。春日恭介15歳、寝ながらにして、なんと罪なヤツ。
鮎:「今夜は飲み明かそうぜ」
ひかる:「…はい!」
まどかとひかるの絆。姉妹同然の2人。その絆が消失の危機に晒された、よって、修復グルーミングをしあう彼女たちなのです。 まどか vs ひかる。勝負の行方はお・あ・ず・け。
春日恭介とのふれあいから、彼女たちがそれぞれに見いだした彼との絆のカタチ。まどかがひかるを引き留めようとして引き留められなかった、ひかるがまどかを振り切ろうとして振り切れなかったのは、絆のカタチが違う、言い換えれば、それぞれに特別で価値のある絆なのだ、という表れなのですね。本研究では恭介とまどかの絆を『2人の絆』と呼称しているので、いずれ、恭介とひかるの絆にも呼称名を付記することにします。
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