★<不良人魚の純情風照り焼き 〜最高の妖精>
不良人魚の胸肉を用意してください。キュンと素直な食感を持っています。淡水で洗ったのち、海辺の天日に一日さらし、夕暮れ時に崖から落として塩水に通すと味が引き締まります。照り出し用のタレは、不良人魚の鱗を適度にすりつぶし、バージンオイルと混ぜ、お肉に薄く塗ります。夏の無人島では極力薄く塗ってください。でないと、鱗に含まれた成分によってお肉の風味が奪われ、意地っ張りな味になってしまいます。んで、夜の帳が落ちたら、浜辺でたき火を起こします。焼く温度は日焼けした肌に残った火照り程度。
距離を調節してください。あまり火に近づけると、味が大胆になりすぎます。セッティング完了後はリンゴでも囓りながらお待ちください。
砂のお城が満潮で完全に崩れてしまう頃が、食べ頃です。
鮎:「あれ…あれさ、聞かなかったことに、してくれない?。(中略)あのさ、あんな事言ったのあたし、初めてだけど、でも…でも、あんな事言っちゃったけど、“今を”、大切にしたいって、そう、思ってるんだ」
渾身のセリフ、“今を”。
この ”を” に、『カオスクイーン=鮎川まどか』の本領が発揮されています。
仮に “は” を採用すると「バージンを大切にしたい」という明確なエッチ無期限お預けの沙汰になります。エッチ解禁の主導権は完全にまどかへ回収され、「じゃあ、いつ?」と突っ込みを入れたくなるほど恭介はノーチャンスになります。一方的(えーん、酷です)。
ところが、“を” を採用し、まどかはエッチ解禁の主導権が互いに互角であると宣言します。『今を大切にしたい=心の響きに素直でいたい』。すなわち、『今はイヤかも』。恭介へルール制限をかけます。ルール制限があるということはルールに則った許可、つまり、恭介へ『まどかの心の響きを察知すればエッチ可能』権限を与えることになります。恭介はチャンスを彼が意図して作ることを許されたわけですね。OKかも知れない、NOかも知れない。今はNOでも数秒後にはOKかも知れない。グレイトだ(いいぞ、不良人魚)。
よって、鮎川まどかが、今この瞬間のインスピレーションを最優先に大切にしている事に変更はありません。宣言後さっそく、夏の予感を素直に受け入れ、くちづけに及ぼうとします。くちづけ後の展開は禁断の空間(エッチ)へと直結していたかも知れません(恭介、残念…)。ルール制限をかけ、その実、恭介へ提供する『きまぐれ』の過激さは維持されている。
『鮎川まどか』。
春日恭介が人魚と見まごうほど神秘的な存在。捕まえたと思ったら指の間から零れ落ちる砂のように、すり抜けていってしまう。すり抜けたと思ったら目の前にくちびるが…。素直なほどに『きまぐれ』。恭介の心を乱してやまない最高の妖精。
『恋するカオス』は、いつの日か恭介とエッチしちゃう予感を固定済み。また、『2人の絆』は無人島においても、99と100に挟まれた1に満たない空間、まどかと恭介、いずれにも収束しない位相で育まれています(パーフェクトオレンジ:第12話参照)。
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