「ふふ、どうして、キミはそんなに餌を食べるのが下手くそなの?」
「餌が大きすぎるのかも知れないなぁ。でも、この一生懸命な姿がいじらしい、かな」
「……………………」
「飲むかい? あったまるよ。ま、一時しのぎにしかならないけどね」
「ありがとう…マスター」
ホットラムの湯気…。まどかは以前、酔う感覚を恭介の肌に触れているようだ、と思ったことがある。
彼の体温はどこまでも温かくて、せつない。
どこまでもせつなくて、温かい。
そう彼女に感じさせているのは、彼女自身だとわかっている。
そのことを再確認できた。
だから…………それで、いい。
「まどか君、電話。まなみちゃんから」
「まなみちゃん?」
「大変なことになっているみたいだよ。ハハハ」
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