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Parallel Novel
「新鮮直送!深まる季節、2人のお味は?」
Scene<10:アバカブ、閉店後、水槽の前>

 

 「ふふ、どうして、キミはそんなに餌を食べるのが下手くそなの?」

 「餌が大きすぎるのかも知れないなぁ。でも、この一生懸命な姿がいじらしい、かな」

 「……………………」

 「飲むかい? あったまるよ。ま、一時しのぎにしかならないけどね」

 「ありがとう…マスター」

 ホットラムの湯気…。まどかは以前、酔う感覚を恭介の肌に触れているようだ、と思ったことがある。

 彼の体温はどこまでも温かくて、せつない。
 どこまでもせつなくて、温かい。
 そう彼女に感じさせているのは、彼女自身だとわかっている。
 そのことを再確認できた。
 だから…………それで、いい。
 
 

 「まどか君、電話。まなみちゃんから」

 「まなみちゃん?」

 「大変なことになっているみたいだよ。ハハハ」

 

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