Top/This site/Animation/Manga/ParallelNovel/Links/
Parallel Novel
「新鮮直送!深まる季節、2人のお味は?」
Scene<11:某所ホテル、朝>

 

 「おはよ。復活した? ゾ・ン・ビさん」

 「あ、ここは?、まどか…、あれ?」

 バスローブを羽織ったまどかの肩上が僕から見えた。彼女は、僕の寝ているベッドの端角で両腕を組み、その上に顎を乗せ小首を傾げている。シャワーを浴びたのだろう、艶々した黒髪でシーツを少し濡らしながら。

 「んもぅ、心配させないでよね。『寒いぃ苦しぃ』って大変だったんだから」

 「あ、オレ…」

 「小松君、怒ってたわよ。『酒癖の悪いマグロに予約していた部屋を占拠された、なんとかしてくれ、オレは鮎川じゃないんだ』って」

 「あ、そうだ、オレ…酔い潰れて…」

  たぶんここは、小松が合コンでゲットした『餌食ちゃん』とシケ込む予定だったホテルなのであり。幹事を引き受けちゃった小松としては、酔い潰れたヤツの面倒を見なければならず、仕方な〜く、僕に提供してくれたんだろうなぁ。ああ…、あとが怖い。

 「やい、恭介。 聞いたぞ」

 「か、数合わせで参加しただけだよ!。酒の勢いで騒いだことは事実だけど、…何にもしてないよ。ホントに何にもなかったんだ!。あ、痛っ」

 僕はまたしても、ぐわぁ〜んと二日酔いで。こんな酷いところを、まどかに見せてしまったと自己嫌悪…どころじゃない!。
  でも、まどかが傍にいてくれる、傍にいてくれるだけで僕は…。バスルームから聞こえてくる、彼女の流す水の音が、僕の身体全体に浸透してゆくような気分で…。

 「はい。お水」

 「…まどか、ごめん。オレ、いつの間にか甘え過ぎて…その…北海道に行かれちゃって、気が付いたんだ」

 「あたしも」

 「……………」

 「恭介の体、氷みたいに冷たくって…」

 「あ、オレ、裸…もしかして」

 まどかは羽織っていたバスローブをするりと床に落とし、僕が引き寄せているブランケットとベッドのシーツの隙間から、身体を滑り込ませ…と、ひんやり冷たい彼女の脚が僕の脚に絡んだ。

 「せっかく、予定を切り上げて、暖かいところに戻ってきたっていうのに、あたしまで凍え死んじゃうかと思ったぞ」

 「ご、ごめん」

 と、…このとき、僕の下半身は、目覚めの生理現象ってヤツの最中にあって、まどかを襲っちゃいそうな衝動が込み上げてきていた。恐らく一晩中、まどかは旅行帰りで疲れているのにも関わらず、僕のことを介抱してくれてたっていうのに、…な、なんてヤツだ! 僕は。

 下半身に当たるブランケットが部分的に盛り上がっており、この状況、…なな、なんとかしなくちゃ。…でも、バレた。

 「あ〜、恭介。エッチモードになってる。夢だけじゃ不満なの?」

 「夢?」

 「そ、夢」

 「…ゆ…め?……むせ、………あ"ーっ!」

 僕は反射的にブランケットをめくり、自分の下半身…、つまり、僕のアレを確かめた。き、キレイなままだ…あれ!?

 「拭いといた」

 「…そ、そんなぁぁ」

 「誰の夢だったのかな〜?」

 泣きたいです。春日恭介。鮎川まどかの前で、もはや男としての威厳は微塵もありません。でも、…まどかの表情には屈託が無く。ころころと笑い零してくれちゃっており。僕の生理現象も含めて彼女は僕のことを想ってくれていると…。

 「ね、心臓の音、聴かせて」

 「うん」

 「……………………」

 「どう?」

 「しっ」

 「………………………………………
  ………………………………………
  ………………………………………
  ………………………………………
  ………………………………………
  …………………………(まどか?)」

 まどかは恭介に体を寄せたまま、寝入り始めていた。
 


 トックン、トックン、トックン

 

P-NList / Next
Parallel Novel
Top/This site/Animation/Manga/ParallelNovel/Links/