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Parallel Novel
「新鮮直送!深まる季節、2人のお味は?」
Scene<1:恭介の大学:キャンパス構内>

 

 ふぁぁあ。
 紅葉が過ぎようとする季節、いかがお過ごしでしょうか?。
 僕が何故、真っ昼間から生あくびを連発しているかというと、
 いつものことだろ?って、まあ、そうとも言うけど。
 ここんとこ徹夜続きで、いつにも増し…


 「いよぉ〜 春日ぁ! おゲンコしちゃってるぅ」

 小松です。
 こいつのテンションは下がったところを見たことがありません。
 こんなとき、僕にも季節感を無視しちゃうくらい、厚かましいまでの積極性があればと、…

 「なぁ〜に、枯れススキしちゃってんだぁ〜?。さては、また鮎川のエッチな写真を撮ろうとして見つかっちまった、とかだろ?。ま、上手く撮れたらオレのコレクションに加えてやっからよっ。かはははは」

 「ンなもん、撮るわけないだろ!。撮れたってオマエにだけは渡さん!。それに大体、ここんとこ、まどかに逢って…」

 「聞いたぜぇ〜、鮎川、お前をおいて北海道に行っちまったんだってな?。いーよなー北海道は。イカも美味けりゃ、毛ガニも美味い!。シャケもシシャモも新鮮そのもの!。温泉入って、雪なんぞ眺めつつ、くぃ〜っと一杯やりぃーの、ついでにオ・ト・コも美味かったりしてなぁ。けけ」

 「おい、小松!。どこまで知ってるんだ?!」

 「なぁ〜に、ムキになってんだよ春日。おマエも今から行けばぁ?。パンキョーなんて代返頼んどきゃ、いいじゃねぇか。イイ目イイ耳イイ友達ってな、大学ってのは、そーゆーところ、なんだぜ」

 小松に言われるまでもなく、僕もそうしたいところなのに、こうしているわけで。

 パンキョー、つまり、一般教養という高校の延長のような単位制度が大学にもあり、地道に出席していたまどかは、単位取得に必要な最低出席日数を満たす目途がついたから北海道に行けちゃったのであり、僕はといえば、目途どころかもはや、一回も講義を休めない状況で。

 まどかのことが気になり、ここ数日、睡眠不足の僕は、講義に出席してはいるものの、ほとんど熟睡しちゃっており。


 「ところで小松。なんで、お前がココにいるんだ!?」

 「合コンだよ、ゴ・オ・コ・ン!。各大学から選りすぐられたエリートのタマゴ達による一夜の宴、愛と青春の特別ゼミってやつだ。そんで、オレがその幹事様ってわけよ」

 「で、その幹事様は、この大学に『餌食ちゃん』を求めてやってきたと。つまり、そーゆーワケなんだろ?」

 「物わかりがいいじゃねぇか。春日よ、オマエ、鮎川以外にちょっかい出してる女っていないのか?。いたら、紹介しろよ。な?」

 「い、いるわけないだろっ!」

 「ジョークだっつーのよ。かはぁ、オマエはいいよなぁ、鮎川のカ・ラ・ダ、くもぉ〜堪能しちゃってるもんなぁ〜。『寒い夜、まどかの体温、くるしゅうない』ってか?」

 「小松!」

 「おっ!美味しそうなおサカナちゃん〜っと、ちゃなー」

 美味しいとか、堪能とか、くるしゅうないとか、でっかい声で…ったく、なんてヤツだ。 でも…

 今の僕は無性に、まどかの体温が恋しく。
 彼女の体臭がふっと鼻先をよぎったような、錯覚にすら囚われているのであり。

 もしかしてこれは、禁断症状なのか?とさえ思える状態で。

 

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