「寄り道、寄り道、だーれもいないっと♪」
春日爺には悪いけど…。鮎川まどかのビアンキは首都高速をベイブリッジに向かって快走していた。車一台、人っ子一人いない湾岸ステージ。浜風が彼女の好奇心を讃えるように耳元で歌う。アーチはもうそこ。まどかはシフトチェンジしてサドルからお尻を上げた。彼女のダンスが始まる。ファイナル・スプリント!。
「いたたた…どこだ、ここは………ん?」
>>僕は夢中でシャッターをきっていた。キュッと締まった腰回り、サドルになってしまいたいくらいカッコイイお尻、太股とふくらはぎの曲線、ジャージの下でたぶん窮屈な思いをしている豊かな双丘、首筋に光った汗、なびくサラサラの長い髪。それらを組み合わせて躍動するしなやかな全身、荒い呼吸、ボクを見つけ微笑んだ瞳、長いまつげ、ボクの名前を呼んだくちびる、キミと、
「はぁ、はぁ、コラ、春日恭介、はぁ、」
世界をふたり占めして…
「どこ、撮ってんのよ、はぁ、ふぅ、」
今年も、
「ちょ、ちょっと、暑いってば、ん…」
夏がはじまる。
fin
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恭介:「…ったく、なんだってこーゆー事になるんだ…勝手にこんな、家族用のワゴン借り…シートなんか2つあればいいのに…帰りにまどかとドライブ…くそぉ…」
あかね:「はぁ〜、自転車に負けてたら先回りどころじゃないわね。まどかちゃん、気になっちゃって全然スピードをあげられないみたい…。おい、恭介。ちゃんと運転しろ!」
恭介:「う、うるさいなぁ」
春日爺:「むほぉ〜!。プリプリのお尻。ムチムチの太股じゃぁ〜」
春日婆:「ホレ、じーさんや。この(恭介の)カメラで冥土の土産に撮ったらどうかぇ?。おほほほほ」
恭介:「おじーちゃん!。おばーちゃんも!」
くるみ:「あー!。ミスターフライドチキンのドライブスルーだぁぁぁ〜。ね、ね、寄ってこーよー」
恭介:「んな事、できるワケ無いだろ!。みんなで乗り込みやがって…」
カズヤ:「いいじゃん、いいじゃん。ボク達はいざという時の保険なんだからぁ〜。ね、ジンゴロちゃん♪」
ジンゴロ:「みゃぉ〜♪」
恭介:「カズヤ!。サンルーフから顔出すな!。…ったく、ドライブじゃな…」
まなみ:「お兄ちゃん、前!前ぇー!」
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