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Parallel Novel
「心の結晶、ひかるの夢クリスマス」
Chapter<4:サンタ3人、密談カツサンド>

 クリスマスを迎えた街。
 至る所で、

「メリー・クリスマス!。恋人とのイブは○×ホテルでどうぞー!。サウナにジェットバス、カラオケも全室完備!。ケーキ、ワインの特別ルームサービス…」

 云々という、販促用のスノーモービルに跨ったサンタが宣伝活動を繰り広げている。なんつー街だ。色即是空。その1団に扮した3人。っていうか、戦闘服がサンタなのだからして、武器とお宝を大きな白い袋に入れるだけで変装は終わりだったりするのだ。

 意気揚々と街に乗り込んだ3人は、ひと頻り街をスノーモービルで流し、ちょっと恥ずかしいエセ販促宣伝をするのであった。別にそんな事しなくても良いのだが、クリスマス・ムードで賑わう街の雰囲気を味わいたいという、ひかるのささやかな?要望とあっては、まどかも恭介も腹を決めるしかない。

ひ:「まどかさん、声が小さいですよ。もっと、大きな声でやらないと疑われちゃいます。じゃ、3人一緒にいきますよ!?。せーのぉ、メリー・クリスマース!。恋人とのぉ〜イブはぁ〜」

鮎:「そ、そんなこと言ったって、…こ、恋人との、お、おアツい、イブはぁ…ぁぁ…」

恭:「…………………ぷっ」

鮎:「!」

恭:「わ、笑ってない笑ってない……ぷはははは」

鮎:「!!」

ひ:「ダーリン! まどかさんも!!」

 大声を出したから、お腹が空いたし、プレゼントを配る家の順序も決めなくちゃね、ということで、腹ごしらえ&作戦会議をする事に決めた3人。サンタ装束のまま、ファーストフード店に突撃!。でも、ほぼ満席の店内で作戦会議などできるのやら。

鮎:「あ〜、恥ずかしかった…毎年、内容が過激になるんだから…ふぅ」

ひ:「想像しちゃって、コノコノぉ。でも、まどかさん。最後はノってたじゃないですかぁ〜」

鮎:「ひかる!」

ひ:「ひゃぁ、ごめんなさーい」

 アハハハ、キャハハハと2人のサンタが笑い立てる声は店中に響いている。気にしない、気にしない。

ひ:「ダーリーン、まだですかぁ」

鮎:「ねぇ、はやくしてよ〜。お腹ぺこぺこなんだからぁ」

恭:「ちょ、ちょっと待ってってば。今、持って行くから…」

 ドジを踏まず、無事にお役目を果たした恭介の目に入ったのは、大胆にも彼女達がテーブルの上に広げている1枚の指名手配書だった。ここに来る途中、まどかが煉瓦倉庫の壁から剥がしてきた、とのこと。

Wanted!!

サンタ盗賊団

 リーダー:鮎川まどか(黒髪)
   手下:檜山ひかる(栗毛)
   手下:春日恭介(優柔不断)
   番外:火野勇作(体育会系)

 生死を問わず、捕らえた者には報償金…っていうチラシが街頭の至る所に貼ってある。つまり、「オレ達にもサンタさんがたんまりとプレゼントをくれるに違いねぇぜ。フハハハハ」などと一攫千金を目論む賞金稼ぎ達も、街に全員集合しちゃってるのに違いなかった。

ひ:「この似顔絵のまどかさん、怖そうですねぇ」

鮎:「どー見ても、極悪人よねぇ」

恭:「うわ、オレも酷い描かれようだなぁ」

ひ:「ちょっと待ってて下さいね。描き直してやりますっ。えーとぉ、ここをこうしてっとぉ、それからここをぉ…」

鮎:「へぇ〜、上手いもんだね。ひかる、才能あるじゃん」

恭:「ひかるちゃん、僕らの事よく観察してるんだねぇ」

ひ:「そりゃぁそうですよ。お2人の事なら何でも…あ、いえ、…ホラ、ながぁ〜い付き合いじゃないですかぁ、もぉ〜」

 3人は、手配書が街中に貼られていて賞金稼ぎも集まってる、そんな状況に意図関する様子もなく笑い立てた。カツサンドバーガーにパクつき、付け髭が邪魔だね、ずれてるよ、ソースついちゃった、なぁんて、はしゃぎながら。作戦会議をしなさいよ。

 ひかるが書いた台本はこの辺りまでだった。この先のストーリーは思いつかなかった、というより、幾ら書いても、納得できるハッピーエンドにならなかったのだ。

<<販促宣伝の文句はガイジンの趣味かしら?。ま、いいわ。…あれ?、何この白いもやは!?。ちょっとぉ〜、よく見えないじゃない!>>

 一瞬、ひかるの夢はホワイトアウトした。

 

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