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Parallel Novel
「心の結晶、ひかるの夢クリスマス」
Chapter<3:夢の始まり! 銀世界の掟>

鮎:「みんな!。いくよっ!」

 鮎川まどかのスノーモービル[キューピド]が雪を噛み、走り出した。[ヴィクセン]に跨った春日恭介が続く、そして、火野勇作は[ダッシャー]のエンジンがかからずに泣きが入っている。

勇:「ひかるちゃぁん、待ってよぅ〜!」

ひ:「オマエは待ってな!」

 檜山ひかるは[ドンダー]のアクセルを全開!。春日恭介を追い抜いて、鮎川まどかに並んだ。勇作が追いついてくる気配はない。もう、雪洞を改造したアジトは見えなくなっていた。

鮎:「じゃあ、3人でやるしかないね!」

ひ:「3人で十分ですよ! ね、ダーリン?」

恭:「ああ!。でも、2人とも無茶しないでくれよっ」

<<わお〜、台本通りじゃん!。でも、何これ?。映像が四角に収まっちゃってるし。アタシが出演している映画を鑑賞しているってゆー感じよね。ま、ハッピーエンドで終わればいいのよ。うん>>

恭:「それにしても、この服…やっぱり目立ちすぎなんじゃないか?」

鮎:「今更、何いってんのよ!?。『何度着ても、興奮するんだよねぇ』とか変態っぽい事言って、嬉しそうにしてたじゃない!」

ひ:「そうそう。アタシとまどかさんのお手製特製なんですから。破ったり、穴あけたりしないで大事ぃ〜に着てくださいよ♪」

恭:「しっかし…一面銀世界にサンタの衣装ってのはねぇ。クリスマスの演出だからってねぇ。真っ赤だし。格好の標的になっちゃいそうな…」

鮎: 「んもぅ、うだうだ言わないで!。ヤツらよ!」

<<2人とも変わってない…あの日のまま。でも、アタシは今のアタシ…髪、長いもん。ってことは、このまどかさんと先輩とアタシは同い歳、高校3年生って事になるのかな?>>

 獲物の4輪駆動車はあらかじめ路肩の雪壁を崩して道を塞いだおいた罠を避けきれず、激突していた。雪山にボンネットが半分くらい埋まっている。そこへ3人のスノーモービルが走り着き、退路も塞いだ。作戦成功、狼煙を上げろ!。

 ヴィクセンに取り付けたM240を恭介が空に向かってガンガンガンッと撃ち放した。

鮎:「メリー・クリスマス! ミスター・悪党さん!」

ひ:「今年も年貢の収め時だよ!」

恭:「景気良く、派手に決めようぜ!」

 悪党はノッポとデブッチョの2人組。ゴールデン・パターンと相場は決まっている。

悪党K:「お、オマエらかい。毎年クリスマスだけに現れる義賊気取りのお間抜けサンタ盗賊団ってのは?」

悪党H:「お、お宝ならこのケースになんか入ってません! 」

悪党K:「アホッ。お宝ちゃんがケースに入ってること、バラしてどーすんだよ!このスカタン・デブが!」

悪党H:「す、スカタン・デブは無いだろぅ。自分だってエロ・ニキビのくせに!」

悪党K:「え、エロ・ニキビだとぉおおお!?」

<<あ、小松さんと八田さん!。やっぱり、この2人こういう役柄ハマるじゃ〜ん♪>>

鮎:「何をごちゃごちゃ喚いてんだい! アンタらが悪どく掻き集めたお宝をアタシ達がキレイに使ってやろうってんだ。わかってんだったら、さっさとそのケースを置いて消えな!。でないと、コイツを土手っ腹にぶち込むよ!」

 まどかとひかるの肩からさげられた2丁のM16が、不気味なほど静かに悪党どもを照準に収めていた。実は空砲弾しか装填されていないM16。気合いと啖呵は惜しみなく使うけど、実弾は使わないのだ。恭介のM240も空砲。良くある偽善者なりのポリシー、そういう設定。その手の情報に詳しいクラスメートの男子から教えてもらいつつ、ひかるなりの解釈を加味してみたのだった。

悪党K:「チッ。わぁーったよ。オレ達悪党の上前をはねるなんざ、オマエらみたいのを極悪ってゆーんだぜっ!」

悪党H:「も、もってけ、どろぼぉ〜! 」

 悪党はジュラルミン・ケースを雪道に放り捨てると這々の体、というか寒冷地仕様の4輪駆動車から振り落とされそうになりながら、逃げ出していた。

恭:「うわっ、重い。こりゃ、かなり貯め込んでたな、どれどれ…」

鮎:「春日君、気を付けて。何か仕掛けられているといけないから」

恭:「だいじょうぶ。ホラ!」

 恭介が開いて見せたジュラルミン・ケース。その中にはギンギラギンに貴金属やら金貨やら札束やらが詰め込まれており。当然のように、『すご〜く、エッチそうなお宝ビデオ』なんてのも混ざっている。

<<ふふ、小道具班が喜びそう♪>>

鮎:「ほらぁ、ひかるから好きなものを1つ選びなよ」

恭:「はい、ひかるちゃん!。選り取りみどりだよ」

 ひかるは小さな天使の形をしたお守りを一瞬、手にしたが、ケースの中へと戻した。

ひ:「なにも…いらない…」

 3人は瞳を交わした。微笑み。それで十分。

鮎:「よぉ〜し、じゃあ、このまま街に降りてバラまくよ!」

ひ:「出血大サービスぅ〜、なんちゃってぇ〜」

恭:「ははははははは」

<<あれ?、何もいらないって、書いたかな?。ま、いいや…>>

 

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