あかねとさゆりのきまオレ超研究こーなー出張版(2005元旦)
「新年あけまして」
「おめでとー」
『ございまーっす♥』
「KOR的には新しい動きがあるようでないようでたぶん無かった去年だったけど、今年は何か新しい動きがあるといーなー」
「もぅ、飢えてるからってガツガツしちゃダメ。何事も動くなら浅く7回、深く1回と言って」
「言わない訊いてない。さゆり。アンタすっかりいー感じに酔ってるみたいだけど、初詣は行った?」
「行ったわ。知る人ぞ知るとっておきの穴場にね。毎年人出少ないから、願い事かなっちゃう率たっかーいのよ、これが」
「ずるいっ。そんな穴場があるならアタシを誘いなさいよ」
「おあいにくさま。漢を乙女に性転換させてくれるよーな願い事は訊いてくれないわ」
「なんですと?」
「これで今年もあたしは勝ち組。で、あかねは負け組と」
「どーせアンタは、しょーもない願い事しかしてないんでしょーに」
「訊きたい?」
「断る」
「美少年狩りまくって酒池肉林」
「そこまでっ」
「みなまで言わす気?」
「要点まとめて簡潔無比に言い放ってまだ足りないか!」
「よい子のみんなー。よーくきいてねー。この時期の神様はーいろいろと大変なのー。だーかーらー、願い事をする時は短くすっきりスマートにねー」
「文字面だけスマートで中身はドロンドロンじゃない。ったく、神様を大変にしてる張本人がよく言うよ」
「え? そーなの?」
「ボケ属性を取って付けるな」
「タコやカメレオンも真っ青のあたしの擬態に惚れるがいいわ。許す」
「アンタもさ、腹黒を改善したいとか、そーゆー謙虚なお願い事をしてれば、少しは可愛げあるのに」
「オンナの変わり身を腹黒とか言ってる時点で負けなのよ。あかねはもっと度量の大きさを身につけるべき。漢として」
「ほぉ。今この場で初夢見さすわよ?」
「初夢ならもう見たわ。これがまたゴージャスでエレガントな内容だったのよ。喋ると御利益が減りそうだからホントーは言いたくないんだけど、特別にあかねにだけ教えてあげる。聞きたいわよね?」
「全力で遠慮します」
「オレは聞きたいですね」
「何か出た」
「年末ジャンボで1等前後賞が当たったみたいに喜ばないでください。照れるじゃないですか」
「え? アタシ達3人で共同購入した宝くじ当たったの!?」
「返答次第では下僕から、お友達くらいに昇格させてやってもいいわよ」
「残念ながら元金割れです」
「ダメじゃん。あーもー思わせぶりな発言しないでよ」
「くじ運強いってゆーからアンタに預けたのに使えないヤツね。とりあえず縛らせてもらうわ」
「ああ、イイッ!」
「悶えるな。ネギが折れるじゃない!」
「今年からICBMはやめてH2にしたから。海の藻屑になる程度で済むわ。喜びなさい」
「初夢がもう叶っちゃうんですね。オレ嬉しいです」
「萎えきった生き様を初夢にまで持ち込んでんじゃないわよ。アンタみたいなヘタレはさっさと海の藻屑になりなさい」
「カウントダウン省略。イグニッション!」
「いってきまぁぁぁっぁぁっぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁっす★」
「今年もよろしくねー! って聞こえてないか」
「さーこれで邪魔者は排除したわ。ゲストを呼ばなくちゃ」
「今回は特別編って事でゲストもスゴイよ!」
「誰なの?」
「それでは皆さんお待ちかねの特別ゲストをお呼びしまーっす。あ───」
「さやけのぉ〜」
「カルタ大会にすんな!」
「ごめんあそばせ。もう一回お願い」
「特別ゲストは、あ───」
「かねとあたしが超研究コーナーにおいて、女同士なのにもかかわらず濃厚なアレをしてしまった件について」
「なっ」
「あたしの口がケセランパサランより軽いのは知ってるわね?」
「鬼! 悪魔! 闇百合!」
「なんとでもおっしゃい。まぁこれは独り言なんだけど。あのオンナをこの場でモノにしなさい。あかねだけのモノにするの。言ってる意味解るわよね?」
「くっ…そんなことそんなこと」

「ただいまー! いやー冬の太平洋は冷たいですねぇ。あれ? まだゲストさん呼んでないんですか? 控え室に行ってお呼びしてきましょうか?」

「おだまり。今はそれどころじゃないのよ」
「何やら深刻そうですね。あかねちゃん悪い汗かいてるみたいだけど?」
「まどかちゃんは手に入れたい…でも、さゆりの奸計に乗るのは人としてあるまじき姿。どーすればいーのアタシは!」
「早く決断なさい。据え膳を食わずはなんとやらというでしょ? 迷ってるあかねなんて漢らしくないわ!」
「んーーっ」
「お取り込み中申し訳ないんですけど、オレ、このあと春日と約束があるんで、お先させてもらいます」
「いつまで悩んでるフリしてるの? 選択肢はないと思うんだけど?」
「あ、そうか! その手があった!」
「あのー」
「アタシが自ら、まどかちゃんにアタシとさゆりとの事を告白した上で、さゆりの陰謀を暴露する! これならどう?」
「っ…」

「アタシもだけど、さゆりも確実に───滅ぶわよねぇ。死なばもろともよっ!」

「やるわね」
「それほどでも」
「あのー。オレ、ホントに帰りますよ?」
 『はーい。おつかれさま(にっこり)』
「でもね、こんなチャンス滅多にないから、あたし的には退けないわ」
「じゃあ一度、滅んでみる? アンタが大人しくしてさえいれば何もなかった事にしてあげるけど?」
「むー」

「う……。脇キャラの悲喜こもごもを分かち合い、人として大事なモノを捨ててまで、互いの傷を念入りに抉りあった僕らじゃないですか。それなのに、どーして業務的な挨拶しかしてもらえないんですか? 愛してくださいとは申しません。たとえその笑顔が本心でなくってもいーんです。営業スマイルだっていーんですよ。でも、新たな年を迎え、少しは、ほんの少しだけでもお二人には下僕を思いやるという心が───」

「うっとーしーわねー。さっさと帰りなさいよ!」
「今日は大人しく消えてちょーだい。しっしっ!」
「うっ…く、うわぁーん(ダッシュ)」
「やれやれ。ちょっと邪険にされたくらいで泣きダッシュだもん。やっぱり、あたしの相手ができるのは、漢の中のオンナ、春日あかねだけみたいね」
「確かに。腹黒いアンタの手綱をとれるのはアタシだけよね。言いたくないけど、アタシ達ってもしかして腐れ縁?」
「まあそーね。でも、あたしは腐ってないわ。あかねが一方的に腐ってるの。それ、わかってるわよね?」
「もちろんよ。だから分けてあげるわ。この拳で。」
「ふふ」
「ふっふっふ」
「あの…アタシ帰っていい?」
 『ダメ!』
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